脱力日記

脱力おばさんの思い出話やつまらない日常を綴るブログ

私に会えなかった弟

あの子がいたら

私には、弟がいたかもしれないのだが、生きては生まれてこなかった。
この年になると、弟がいたらよかったのになあと、思う。


どうしてそういうことになってしまったのか、今でもわからないが、そういう運命だったのだ。
ある日、家に帰ったら、母親がいなくて、代わりに父親がいて、母親が入院しているから、しばらくは、母親なしで過ごすのだ、と言った。
えっそれは、困ったな、と思った。
たぶん、父親に連れられて、病院に会いに行ったと思うのだが、覚えていない。


私は、もうひとり、きょうだいができるということは、知っていたし、友達のお母さんたちも、みんな、よかったねと言って、心待ちにしてくれていたのを、知っていた。
特に「これ以上きょうだいは欲しくない」と思ったことは、なく、「ああ、できるんだな」と、思っていただけ。
男親というのは、男の子が欲しいものらしいので、やっぱり、期待していたらしいということは、後になって聞いた。
父方の祖父母も、たぶん、同じだっただろうと思う。
弟になるはずだった赤ん坊は、祖母が小さな墓石を建てて、祀ったと聞いた。
父は、結局、女の子2人の父親で終わってしまって、気の毒だったな、と思う。
そういえば、父が亡くなったあとに、「隠し子」とかが、名乗り出てくるということも、絶対にないとは言えないと、思っていたのだが、やっぱり、そういうことはなかった。
父は、あのとおりの人だったんだな、と思った。


無事に生まれていたら、わが家の歴史は、いいほうにも、悪いほうにも、かなり変わっていたはずである。
どんな名前をつけたのだろう。
その子が、満足のいく人生を送ったとは限らないが、生まれてほしかったな、と思う。